話を聴くということ。話しを聴いて 人の気持ちが分かる ということ。

平成23年10月15日(土)
投稿番号[14966]


テーマは 話を聴くということ。
     話しを聴いて 人の気持ちが分かる ということ。

1.初めに
 どうやって話を「聴く」ようにする?
 肯定する?
 否定する?
 受容する?

 実は あまりどれも 良くありません。

 解りやすい話が
 「死にたい」と誰かがいったら
 「絶対に死んじゃダメ」と答えるのが一番です。
 なぜ いけないかを 解説しては いけません。
 とにかく「死なないで」というのが 答えです。

 これは その人の話を、肯定も否定も受容もしていません。
 ただ こちらの気持ちを 訴えただけです。

 話しの聴き方は、これで 本当は良いのです。

 気持ちを理解してあげる事が 必要だと よく言われますが
 往々にして、分析や解釈になってしまいます。
 たとえ、「正しい分析」であっても これは「間違った態度」です。

 何と言っても「上から目線」だからです。

 「その人に 寄り添って 理解する」のが 目標ともいわれますが
 基本的には、人の話は よく分からないと 思います。
 人の話は きちんと 理解できない 可能性が高いという事を 知っていてほしいと 思います。

 人からの話で 間違いなく伝わるのは、数字とか時間ぐらいです。

 相談される事は 通常の場合、もっと ややこしい事ですので 話している側と 受け取る側に ずれが生じます。

 言葉には いろいろな表現が ありますが それでも感情や、微妙な印象は 100%表現しきる言葉が ありません。

 どんなに 上手に表現しても その人によって 言葉の使い方や 受け止め方が 違うので
 手に取るように分かる ということは 少ないものです。

 たとえば
  Aさん 「この車すごい黄色いだね。」
  Bさん 「ほんとにすごい色だね。」

 この二人は、同じ色の車を見て、
 同じように 「すごい」と言っていますが
 同じ感想を 持っているかどうか 分かりません。
 同じ色に 見えているかどうかすらも 分かりません。

 Aさんには、突き刺さるような黄色に
 見えているかも しれません。
 Bさんには、心が洗われるような 優しい黄色に
 見えているかも しれません。

 同じ色を見ているからと 言って、
 脳に 同じ刺激が もたらされるわけでは ありません。
 というか 比較が できません。

 色の事でも こんな感じですので
 その人の体験した「つらい思い」などは 聴く側が 「そっくりそのまま」体験できないものです。

 百歩譲って、そっくり同じ体験が できたとしても 体験する人によって 湧く感情は 当然違ってきます。
 人 それぞれ 感覚が 違うから。

 たとえば これを読んでいる人が
 同じ所から バンジージャンプを したとします。
 同じ感想を 持つでしょうか?
 大喜びする人もいれば
 死にそうになっている人も いると思います。

 「同じ体験をする」というのは
 「同じ心境を分かち合う」ということでは ないのです。

 それなのに 同じ体験すらしないのに、人の話を 聴くのです。
 分かる可能性は、さらに低くなるのではないかと 思います。

 だから、よく分からなくても 良いと思っています。
 解らない事が 恥ずかしいわけでは ありません。

2.人が 相談を 持ちかけてくるときの 心境

 (1)手伝ってほしい時

 なんらかの理由で、その人が 手詰まりに なった場合です。
 これは ほとんどの場合 お金や、技術の提供になります。
 だから、具体的要求が あります。
  「来週の月曜までに100万円必要なんだけど」とか
  「浮気が 相手の奥さんに ばれたんだけど どうしたらいい?」とか
  「今度の会議の資料が まとめられないんだけど」とか
  「Aさんが好きなんだけど」とか
 
 お金の場合は 断りましょう。
 際限なく要求される可能性が あります。

 中には、遠回しに要求するので 何をしてほしいのか よく分からない人もいます。
 こういう人の方が 性質(たち)が悪い事が あります。

 それから困るのが「内緒にしてね」というのが おまけに付く事が すごく 多くある事です。
 こういう人には、よほどの親友でない限り 近寄らないように しましょう。

 (2)心の中で 問題が 少し解決したので 聴いてもらいたい時

 これは聴いていれば 良いはず。
 聴いていると「ちょっと変だな」とか 「そんな事するんだ」とか 思うかもしれませんが とりあえず 突っ込むのは やめましょう。

 人間は、本当につらい時には 声も出ない事が 多くあります。
 痛みと 同じようなものです。
 激痛の時は、声も出ないのではないかと 思います。
 
 心も同じで 本当に大変だと その事を 思い出すのも 話すのも つらい状態になることが 多いと思います。

 ただ ひたすら耐えて うずくまるだけみたいな状態に なります。
 だから 話せません。
 こういうときには 声も出ないで苦しんでいることに 気づいてあげたいものです。
 気づいたら ただ、そばに 寄り添っていてあげれば いいのです。
 その人に 会話する力はないでしょうから
 背中でも さすっていてあげる方が 良いような気がします。

 そのつらい状態から 抜けて 少し楽になると 人に話せるような 気がします。
 少し楽になっているのですから、その人の中で
 ある程度、解決の糸口は 見つかっているのです。

 だから、何か素敵な答えを 用意する必要は ありません。
 その人の考えを 整理するために
 辛い思いを 聴いていれば いいのです。
 だれかに話をすると その人に分かってもらおうと 努力するので
 自分の中で 考えがまとまりやすくなります。

 この場合 必要なのは、その人のそばにいて「聞いている」ことです。
「聴いて」いなくてもいいです。
 途中で「そこのところは こういうこと?」とか 訊いてあげることは 有効です。
 めんどくさいなら 相槌を打っているだけで 良いです。

 本当に聞いているのが 面倒になってきたら
 それは、この分類に入る「心境」ではないかも しれません。
 ただ振りまわしたいだけ なのかもしれません。


 この分類に 入るものであれば
 一番重要なことは「そこに居続け 聞いている」という事です。

 (3)純粋な相談の時

 どうすればいいのかの意見を 聴いている時です。

 これは 頑張って 自分なりに 意見を まとめましょう。
 もちろん その前に いろいろな情報を 確認する必要が あります。
 状況を確認した上で 自分の意見を ふんだんに 取り入れてください。
 一般論も 訊いているかもしれませんが、
 個人的見解でも 問題はないと思います。

 (4)同意を求めてくる時

 「あなたも こう思うでしょう?」とか
 「あの人って ほんとに やな人ね」とか
 「あなたも そうするでしょう?」とか

 いずれにしても、違う意見は 受け入れてくれない事が 多くあります。
 「そうは思わないな」とか思っても、それを話したところで
 良い事は 起きません。
 後で、そこら中で 陰口を 言われたりするのが 落ちです。

 (5)ただ ストレスのはけ口に しようとしている時

 こういう人が 多くいます。
 こういう人が 一番多いかもしれません。

 例えばこんな感じです。
 「AとBどっちが良い?」とか 訊いてくるのですが
 いろいろ状況を 聴いてから
    「それなら Aの方が 良いんじゃない」と答えると
 「そっちは こうでこうだから 駄目なんだもん」と言われ
    「それなら Bにしたら?」というと
 「だって そっちは こうなんだもん」と答えるような人です。

 その場にいない人の悪口を ずっと 話してくるような人も
 ここに入ると 思います。

 他にも いろんな話の仕方が あるとは思いますが
 共通しているのは、こういう人は 聴いていると 嫌な感じ しかしません。
 しかも、何を言っても、否定して返されます。

 きっと その人の身近にいる人と 話し方が そっくりなのでしょう。
 昔から そういう対応を されてきたのかなということは 分かりますが、
 だからと言って 聴いていて 心弾むような事は ありません。

 聴いているだけ 無駄です。

 頑張って聴いていて、その人が 納得するまで 我慢したとしても
 別の時に、こちらの相談に 乗ってくれる可能性は ゼロです。

 3.聴く上での心構え

 大してありません。

 ストレスの はけ口になっている のでなければ
 ただ 聞いていれば いいのでしょう。
 答えを 求められても「良く分からない」という答え方も ありです。

 確かに 理解して あげようとする聴き方は、嫌な印象は 与えません。
 それだけでも 救われる気が するかもしれません。
 でも それほど 理解できなくても 反省の必要は ありません。
 
 反論したくなった時は、同意を 押しつけられたりしているかも しれません。
 もしくは、よっぽど 考えの浅い行動を していた人なのかも しれません。
 反論して 角が立つなら、相性が悪い 可能性もあります。
 付き合い方を 考えた方が 良いかもしれません。

 もし 聞くのが嫌に なったとしたら
 それは きっと とても聞いていられないような 話なんでしょう。
 自分を 責める 必要は ありません。 

※本文では、丸数字のところがありましたが、Windows以外だと文字が変わってしまう場合があるので(数字)に置き換えました。

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