朝のお説教 特別編

2003年5月17日(土曜日)
テーマ:
ある 少年が いました。
名前を、南田 耀(なんだよう)と いいます。
今 11歳。
一人で、石の上に 座っています。
彼は、さっきの ことを 悩んで いました。

ほんの 少し前 草野球で 打席に 立って ました。
ツーアウトで ランナー2、3塁。
一点 負けて いました。
彼は、代打でした。
打順は、5番。彼は 信頼されて 代打になった わけでは ありません。
彼は、転校して 来た ばかり。
方言も 分からず、話が できないので、草野球に 入れて もらえなかった のです。
本来の 5番バッターが、前の回の 守りで けがを したから
代打に してもらえた だけです。
彼は 思いました。
「絶対 ヒットを 打たないと。良いとこ 見せないと。
ボール球には 手を 出さないんだ。よく 見て いかないと。」
彼は、ホントに よく見てました。真剣でした。
良い玉を 待って いました。
カウント ツーツー。
ピッチャーが 投げました。
ボールが 手を離れたとき すぐに わかりました。「あっ、ボールだ。」
彼は、次の 投球に備え、打席で 素振りを しました。
そのあとで、何と・・・なんと・・
ボールは ミットに 収まりました。
「ストライーク、バッター、アウト!」審判の 声が 響きます。
「なんだよう、待ってよう、素振りした だけだ よう。」
「あ〜〜あぁ、へぼ!!、あんな やつに 頼むもんじゃ ないのぉ。」 
後ろから やじる声が します。
バットを 投げ捨て、走って 彼は 逃げて いきました。
心の中で 叫んでいました。
「なんだよう。ばかやろう。ボールだと 思ったから 素振り しただけ じゃないかぁ。」

今 彼は 悩んでいます。
「ツーツーまで 待たなきゃ 良かった。もっと 早く 打てば よかった。」
「せめて、バットに 当ててたら 良かった。」
「ヒットじゃなくても 当ててたら・・」
頭の中は グルグルと いろんな 考えが 渦巻きます。
でも 結果は 三振です。
素振り した だけ なのに。
ただ 素振り した だけ なのに・・

あの時の事、まだ覚えてます。
もう34年も 経ってるのに。
あれは 絶対ボール でした。
素振りを した だけです。
でも、そうは 見えなかった のです。

そんなことを、今 思い出して いました。

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